① はじめに
母は70代で、車で30〜40分の所に、犬のたまと暮らしています。
母の物忘れのことと、今年の夏から、ほぼ毎日通っていることは、前にこちらに書きました。

今回は、その続きです。
一冊の漫画と、一枚のメモ紙の話です。
② 母の『自分で薬もできる様にするから』
母の薬は、目薬と、飲み薬と、貼り薬があります。
私が行かない日は、どの薬も、多分、出来ていません。
10月のはじめに、母は、デイサービスに一度行ってみました。
でも、もう行きたくない、と言うのです。
『断って欲しい!』
『純一に迷惑を掛けないから!』
『自分で薬もできる様にするから!』
そのあとで、『飲む時間と種類を教えてほしい』とも言いました。
母のほうから、言ってくれたのです。
それで私は、ダイソーで、1週間分の飲み薬を入れられるケースを買いました。
薬を入れて、母に説明してきました。
そのときの私の記録には、こう書いてあります。
「理解は出来てないと思うし、期待は出来ません」
『また、来るから!』と言って、帰ってきました。
③ 仕事先で見つけた、一冊の漫画
それから数日たった、ある朝のことです。
仕事先で、一冊の漫画を見つけました。
『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』という本です。

気になって、読みました。
わかり易かったです。
なるほど、と思いました。
母も、頑張ってる。
周囲に迷惑をかけない様に、頑張っているのだ。
そう、気付かされました。
その朝、実家で母に穏やかに接することが出来たのは、この本を見たからだと思います。
④ 「明日のAM10:45に出発」
次の日は、母の目の病院の日でした。
前の日に実家へ行ったとき、私は、メモ紙を一枚、貼ってきました。
『明日のAM10:45に病院へ出発』
母が不安にならない様に、分かる様に、目に見える所に貼りました。
これも、漫画を参考にしたことです。
当日の朝、電話をしてから実家に向かいました。
病院のことを言うと、母は『分かってるよ』。
着いたら、準備万端でした。
目薬をさそうとしたら、『もうやったよ!』
いちばん大事と言われている右目の目薬は、机の上に置いてあります。
母自身でもやって欲しいからです。
飲み薬を飲んでもらおうとしたら、『もう飲んだよ!』
確かに、ケースの今日の分は、無くなっていました。
数日前に「期待は出来ません」と書いた、薬ケースです。
私は、残りの貼り薬と、左目の目薬をしました。
印象は、とてもしっかり。
記録には、そう書きました。
その朝も、母は、いつものように、同じことを何度か聞いてきました。
前には、それでイライラしてしまった日もありました。
でも、本に書いてあったのです。
同じことを何度も聞くのは、ちゃんと覚えていたいから。
周りに迷惑をかけたくない、という気持ちの表れなのだと。
今、これを書きながら、ふと思いました。
母は、理解は出来ているのです。
ただ、忘れてしまうのです。
⑤ 待合室で
病院の待合室は、混んでいました。
待ち時間は、2時間以上です。
その間、母は、こんなことを言っていました。
『今日はずいぶん混んでるね、悪いね、ごめんね』
『悪いんねぇ、こんなに遠くまで連れて来てくれて』
妻のことも、『大変だろう?』と気づかっていました。
本で読んだ、周囲に迷惑をかけない様に頑張っている母が、目の前にいました。
この日は、前のように、イライラすることがありませんでした。
(待ち時間は、本当に嫌でしたが。)
その日で、この病院は一区切りになりました。
もう、行かなくて良いのです。
でも、何だか、寂しくなってしまいました。
相当大変だったのに。
また、母と、行きたいと思ったのです。
⑥ おわりに
漫画を一冊読んだだけで、その朝の接し方が変わりました。
メモ紙を一枚貼っただけで、母は準備万端でした。
母も、頑張ってる。


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