母の物忘れに、いちばん遅く気づいたのは、私でした

母は、車で30〜40分のところで、犬のたまと暮らしています。70代です。
今年の夏から、ほとんど毎日、母のところに通っています。

……と書くと、親孝行な息子に聞こえてしまいそうです。
でも、ほんの半年前まで、私は実家にほとんど行っていませんでした。
母の物忘れに気づいたのも、私がいちばん遅かったのです。

今日は、その話と、いま私がAIに「母のことを毎日聞いてもらっている」話を書きます。

以前、離れて暮らす母のために、毎朝LINEが届く仕組みをAIで作りました。その母の話の続きです。

離れて暮らす母のために、AIで「見守りLINE」を作ってみました
群馬で一人暮らしをしている、75歳の母がいます。元気にしているだろうか。ちゃんとごはんを食べているだろうか。電話をするほどではないけれど、毎日ふと気になる。そんな方は、私だけではないと思います。私はプログラミングの専門家ではありません。それ…

① 「覚悟しておいた方が良いよ」を、寿命の話だと思っていました

今年の春過ぎのことです。
母の妹たちから、何度か「話がしたい」とLINEが来ました。

私は、久しぶりに母も交えて、みんなでおしゃべりを楽しもう、という誘いだと思っていました。

ある日、妹の一人に、こう言われました。

「直ぐではないけれど、覚悟しておいた方が良いよ!」

私は「ん?寿命のこと?」と思いました。
そう受け取ったのです。

母の物忘れのことを言ってくれていたのだと、あとになって分かりました。
免許証を無くす。お金を無くす。鍵を無くす。
そういうことが、もう何度も起きていたのです。
私は、なんとなく聞いていたくらいでした。

その間、母を病院に連れて行ったり、免許証を作り直す手続きに付き添ったりしてくれていたのは、母の妹たちと、いとこでした。
妹たちが動いてくれていることは、知っていました。知ったうえで、任せていたのです。
自分には仕事がある。忙しいから。そう思っていました。
そのころの私は、母の様子に、無頓着でした。
……いえ、面倒だ、という気持ちのほうが強かったかもしれません。

夏になって、母の目の手術と入院が決まりました。
その頃、私は思いました。
母の妹たちは、母のことを迷惑に思っているのではないか。
そうだとしたら申し訳ないし、何より、そんな状況に私は耐えられない。

それで、妹の一人に、こう言いました。

「今までほんとにありがとうございます。これからは自分がなるべく主体的にやっていくね!」

一人っ子の自分がやるしかない。そう決めた日です。

② なぜ、AIに記録を頼んだのか

母のところに通い始めた8月のなかば、AIに、こう頼みました。

「この記録の、監視役をお願いします。必ず私が日記を書き続けるために。」

すると、AIから提案がありました。
毎日、AIのほうから「今日の母の記録、ありますか?」と聞いてくる、という形です。
良い仕組みだ、と思いました。
私は、それに答えるだけです。
一言でも。何もなかった日は、「何もなかった」と。

じつは、「監視役をお願いします」と自分が言ったことを、私は忘れていました。
記録を頼んだことは覚えています。でも、この言葉は、忘れていました。
この記事を書くために、8月の記録を見せてもらいました。
最近の私は、通うのが大変だとか、目薬が面倒だとか、そんなことを口にしています。
8月の自分の言葉と、いまの気持ちが、少し違う。
それが残念で、目が覚めました。

なぜ、記録を残そうと思ったのか。

私は、お金の勉強をさせてもらっている場所で、心の恩師の話を毎朝聞いています。
その人の姿勢や話を聞いていると、自分がいかに、今まで自分のことしか考えないで生きてきたか。それが情けなくて、変わりたかったのです。

いま自分が直面している、母とのこの出来事。
これを記録しておけば、いつか、同じ想いで困っている誰かの役に立てるかもしれない。
そう思ったのです。

③ 記録の仕方は、話すだけです

やっていることは、とても単純です。

病院の待ち時間や、自分の部屋で、iPhoneのメモに打っておく。
仕事が一段落したときに、そのメモをAIに話す。
それだけです。

AIは、私の話した言葉を、一字も変えずに日記に書いてくれます。
盛らない。整えない。「何もなかった」と言えば、「何もなかった」と書く。
これも、最初の日にAIが決めたやり方でした。
その時にAIに話していた言葉や言い方を、そのまま、あとになって見られる。
これは、とても良いことだと思いました。

この日記が、思わぬところで役に立ちました。
ケアマネジャーさんとの面談です。

母の様子を、その場で口で説明するのは難しいものです。
「同じことを何度も聞く」と言っても、いつ、どんなふうに、が出てきません。

そこで、AIに日記から「面談で伝えること」を一枚にまとめてもらい、紙にして持って行きました。
物忘れの具体例が、日付つきで並んでいます。
薬のことで困っていることも、書いてあります。
1回目の面談は、その紙を見ながら、進みました。

(2回目の面談のときも同じように用意しましたが、話の流れで出さずに終わりました。それでも、自分の頭の整理にはなっていました)

……と、うまくいった話ばかり書きましたが。
行かない日も、あります。
行かなかった日のことも、AIに話しています。
その日の記録には、こう残っています。

「行かなかった事がやっぱり後悔はあります。」
「明日は行きます。」

それも、記録です。

④ 記録の中で、いちばん好きな日

8月の終わりのことです。

母は、目の手術のあとで、目薬をさすことになっています。
右目と左目で、何種類もあります。それを、1日に何回も、です。
でも、私が朝に行ってさす1回しか、できていないかもしれません。
そのなかに、切らしてはいけない、と言われているものがありました。
それを母に念押ししたら、母が言いました。

「今更言われてもなぁ!」

私は、思わずこう返しました。

「切らさなければ良いんだよ!ささなくても!」

母は、爆笑しました。

……よく考えると、なんの解決にもなっていません🤭
でも、その日の私は、こう記録しています。

「今日会ってそんな些細な会話ができた事が楽しかった。嬉しかった。いつか、そんな事も出来なくなってしまうのだから!」

この日のことは、その日のうちにAIに話しました。
この記事を書くときも、AIが記録から出してくれなければ、思い出せていなかったかもしれません。
だから、いま、こうして書けています。
母の物忘れの記録を始めたのに、いちばん残ったのは、母が笑った日でした。

⑤ 同じ立場の人へ

母の物忘れと向き合い始めて、まだ、ひと月と少しです。
9月のある朝、私は記録に、こう書きました。

「優しくしておく事こそが、後悔しない事かな?と思いました。出来るか分かりませんが。自信ないかも。」

私には、まだ、人に何かを教えられるほどのことは分かりません。
でも、記録は残しています。母の言葉も、私の言葉も、そのままで。
いつか、この記録が、誰かの役に立つ日が来たら嬉しいです。

この話の続きを書きました。

同じことを何度も聞く母に、一枚のメモを貼ってみました
① はじめに母は70代で、車で30〜40分の所に、犬のたまと暮らしています。母の物忘れのことと、今年の夏から、ほぼ毎日通っていることは、前にこちらに書きました。今回は、その続きです。一冊の漫画と、一枚のメモ紙の話です。② 母の『自分で薬もで…

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